「八月のクリスマス」(韓国)


製作:1998年 監督:ホ・ジノ
出演者:ハン・ソッキュ 、シム・ウナ

感想を書くために調べている中で知ったのですが、この映画は2005年に「8月のクリスマス」という題名で日本でリメークされていました。主演は山崎まさよしさんでしたが、ぴったりの役柄のように感じました。

いつも書いていますように、韓国映画を見ていますと似ている日本の俳優さんが思い浮かぶんできます。この映画では主人公の初恋の役を演じていたチョン・ミソンさんが井森美幸さんに似ていました。

主演のハンさんは、「冬のソナタ」で韓流ブームの火付け役となったペ・ヨンジュンさんにどこか似ている感じがしました。この当時の韓国の芸能界の男性陣はこうした顔立ちが流行っていたのかもしれません。どちらかと言いますと、「いかにも東洋的」といった顔立ちで、いわゆる「醤油顔」です。

それに対して女優陣の顔立ちは目元くっきりの二重で、どこの世界に行っても「きれい、ビューティフル」と通用するような顔立ちをしています。女性の場合は全世界共通の美意識があるのかもしれません。そういえば、「醤油顔の美しい女性」はあまり見かけませんね。それに、よく考えますと、つけまつげという化粧品があること自体、「目元はくっきりしているほうがよい」ことを示しています。女性の二重は全世界共通の美しさの要因のようです。

さて、物語について書きますと、いい意味で「淡々と」ストーリーが進行していきます。日本でのリメークは「山崎さん」でしたが、山崎さんの持つイメージにぴったりの役柄です。山崎さんの歌は声質の影響もあると思いますが、日々の生活を「淡々と」つづっている印象があります。この映画は山崎さんの歌とイメージと物語がまさにはまった内容になっています。とは言いつつ、山崎さんの「8月のクリスマス」は観ていないのですが…。

「山崎さん」と言いますと、朝日新聞の朝刊に載っていた主婦の投稿が思い出されます。もう大分前、10年以上経つのでしょうか、ある主婦が「山崎さんの声が好きだ」という投稿をしていました。この投稿を読んで僕が最初に思ったのは「こんな個人的な意見でも、採用されるんだ」ということです。

一般的に考えますと、新聞というメディアは「硬めの内容」という印象があります。主に政治や経済を扱うことが多く、間違っても週刊誌的な内容の記事はありません。強いて柔らかめな記事と言いますと家庭欄とか暮らし面の人生相談コーナーくらいでしょうか。

このように硬めな内容が多い新聞で、一主婦の「つぶやき」ともとれるような投稿が掲載されたことに驚かされました。驚いたのは僕だけではなかったようで、それからしばらくしてほかのメディアで「朝日新聞に掲載されたこの投稿」について取り上げられていました。やはり、僕と同じ感想を持った人は多かったようです。

このように、市井で暮らすごく普通の一主婦をも虜にするほど魅力がある山崎さんが演ずるに相応しい主人公なのですが、ドラマティック的な展開がないことがこの映画の魅力でした。今の時代のドラマは、「これでもかこれでもか」というふうに過激なストーリー展開が視聴者を引き付ける要因となっていますが、普通の人は、ドラマに出てくるような刺激的な人生を送ることはありません。朝起きて、仕事して、家に帰ってきて、テレビやネットを見て、一日が終わるのが普通です。

この映画の素晴らしいところは、まさにそこです。ごくごく平凡な暮らしを日々過ごしていくことを描いていることです。少し前に「100日後に死ぬワニ」という4コマ漫画が人気になり、その後の展開が商業的ということで物議もかもしましたが、この漫画も日々の何気ない暮らしを描いていたことが人気になった要因でした。

「平凡に勝る暮らしはなし」

また、次回。

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