<この街に心揺れて>

台湾の映画なのですが、時節柄どうしても政治関連のことが頭をよぎってしまいます。しかし、話の内容自体は政治的な主張などはなく、純粋な恋愛映画なのですが、逆に言いますと、恋愛映画であるがゆえに、今の中国と台湾の関係を考えてしまいます。

現在、中国が香港への圧力を強めていることが世界の注目を集めていますが、その流れで台湾に対しても不安を感じて当然です。台湾は新型コロナの抑え込みに成功したことで世界的に評価され、WHOへの参加を希望していましたが、中国の圧力で実現できませんでした。(理由は、台湾は中国の一部だからです)

そうした政治の緊迫感とこの恋愛映画が今一つ結びつきませんでした。製作が2015年ですので、現在ほど緊迫感がなかったのかもしれません。ですが、中国との関係の難しさは中国が誕生したときからあったはずです。

実は、7~8年前妻が働いていた職場に台湾の方が働いていました。流暢とは言えませんが、そこそこに日本語を話していたそうです。妻の話では「その方はしばしば本国(中国のこと)の悪口」を話していたそうです。台湾の人が中国の人を快く思っていないのは想像できますので納得できることではありました。

それはともかく、この映画には「東京」という言葉がよく出て来ます。理由は、女性の主人公はカメラマンなのですが、活動拠点が「東京」だからです。その関連でしょうか、日本語を使う場面も幾度があります。昔から台湾は親日的と言われていましたが、そうしたことを実感させる場面でした。

政治のことを抜きにして、恋愛映画としての評価は10点満点で「7点」です。特に素晴らしさを感じたのは冒頭と最後の場面です。冒頭で主人公ではないのですが、映画の重要な役割を担っているキューピッド役の若い男性が言葉を発することもなく、単に行動しているだけでこの映画の内容を暗示させています。これを素晴らしいと言わずなんと言いましょう。

キューピッド役の登場により、この映画はファンタジーになっていますが、違和感がなく自然な流れでキューピッドを登場させていますので魅力になっています。この映画を一言で言いますと、「大人の恋愛映画」です。

最後の場面ですが、ストーリー的によくできており、最後の最後に物語がすべてつながるのです。伏線が最後の最後につながったときは感動しました。是非、ご覧ください。

韓国映画を観ていても思うのですが、東アジアの俳優さんは日本の俳優さんでそっくりな人がたくさんいます。どうしてもそれが気になって物語に集中できないという問題が僕にはあります。(笑)

では、また。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする