「500ページの夢の束」

製作:2017年(米国)
監督:ベン・リューイン
出演者:ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イブ

この映画は、自閉症の少女が「スタートレック」という映画の脚本公募に応募するために、ハリウッドを目指すロードムービーです。主人公の少女は自閉症ですので、他人と意思を疎通することも、バスに乗ることも簡単ではありません。そうした困難に遭いながらも、ハリウッドまで届けるのですが、僕が一番感じたことは、わずか1日の出来事を映画にしていることでした。

そこで思い出したのが、『アメリカン・グラフィティ』です。この映画はのちに『スター・ウォーズ』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズを製作するジョージ・ルーカス氏が29才のときに製作した映画です。

1960年代の米国の青春群像を描いている映画ですが、公開は1973年です。僕が観たのは76年~77年あたりだと思いますが、学校の帰りに名画座の2本立てで観ました。映画が始まってすぐにけたたましいロックの音楽が流れるのですが、その音楽で一気に映画に引き込まれました。

「500ページの夢の束」は一日の出来事を描いているのですが、「アメリカン・グラフィティ」は、なんとさらに短い一晩の出来事を描いています。高校を卒業し、翌日は地元を離れる若者たちの最後の一晩を描いています。当時、「たった一晩の出来事を映画にしている」ことに感動した記憶があります。

僕は高校時代バレーボール部に所属しており、夏休みも冬休みもなくほぼ1年中クラブ活動に明け暮れていました。もっとも、そのおかげで悪い道へ進まなくてよかったのですが、バレー以外のことをほとんど知らないまま高校時代を終えていました。

ですので、純粋無垢で真っ新な僕の心に最初に色をつけてくれたのが『アメリカン・グラフィティ』でした。映画の面白さを僕に教えてくれた映画でした。それ以降、僕は名画座通いがルーチン化したのですが、「エデンの東」とか「明日に向かって撃て」とか「俺たちに明日はない」など今思い起こしても感動する映画をたくさん観ました。

結婚して子供ができてからは映画を観に行くこともままならなくなりましたが、映画が僕に与えた影響はかなり大きなものがあります。それまであまり本を読むことがありませんでしたので、映画が僕に社会への関心を広げてくれたと言っても過言ではありません。

今回観ました「500ページの夢の束」は、主人公が脚本の公募に応募するためにハリウッドへ向かうのですが、その映画は「スタートレック」という映画です。主人公は自閉症なのですが、「スタートレック」のオタクという設定です。主人公は「スタートレック」に関しては普通の人では知らない実に細かいことまで熟知しているのですが、そのあたりは「レインマン」という映画を思い起こさせました。

「レインマン」はダスティン・ホフマンが自閉症の兄の役で、その弟の役をトム・クルーズが演じている映画です。トム・クルーズは「トップガン」の大ヒットでご存じの方も多いでしょうが、ダスティン・ホフマンは60年~70年代に活躍した活躍した俳優さんで、僕は名画座で知りました。

ホフマンさんの出世作は「卒業」という映画ですが、この映画には「サイモンとガーファンクル」というデュエットの歌が随所で効果的に使われています。もちろん僕は「サイモンとガーファンクル」についてもあまり知りませんでしたが、高校時代にうしろの席にいたツチヤ君が僕に「明日に架ける橋」など名曲を教えてくれていたことを思い出しました。

実は、このツチヤ君とはなにかしらの縁があるようで、僕がラーメン店を営んでいたときに偶然にも食べに来たことがあります。当時、ツチヤ君は医師になっており、大学病院で働いていました。高校時代はあまり目立つこともなく、成績的にもそれほど優秀だった記憶もありませんが、ご実家がお医者さんだったことをそのときに知りました。

お医者さんになってからのツチヤ君を見て思ったのですが、ツチヤ君は身長も180センチくらいあり、顔も小さくなかなかのイケメンでした。高校時代は本当に目立たなかったのですが、それがとても不思議でした。おそらく今はお父さんの医院を継いでセレブな人生を送っているはずです。

そんな「ツチヤ君」を思い出させてくれた映画でした。

また、次回。

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