しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

製作:2016年(カナダ・アイルランド合作)
監督 アシュリング・ウォルシュ
出演者:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク

なんとも素敵な映画でした。男性主人公を演じたイーサン・ホークがとても魅力的で、無骨ながら素朴な純粋な男を演じています。現在、「ストックホルム・ケース」という映画が公開されているそうですが、ラジオで町田智弘さんが紹介していましたので興味を持ちました。

今回僕はアマゾン・プライムで「しあわせの絵の具…」を見たわけですが、数多くの中からこの映画を選んだのは、ダイジェスト版を少し前に見ていたからです。僕は最近、youtubeでネットサーフィンをするのが趣味のようになっていました。きっかけはアメージングレースをピアノで弾けるようになりたかったからです。

初心者用の楽譜を調べたり、プロが初心者用に教えているサイトを見たりしていました。そうしますと、ご存じだと思いますが、僕におすすめの動画が右端に出てきます。最初はその中からボクシングのサイトを頻繁に見るようになり、それから70年代~80年代の歌を紹介しているサイトを見るようになっていきました。

そうした中に映画のダイジェスト版を紹介するサイトが幾つかあることを知りました。僕は映画が好きなのですが、ひとつの映画を観るとなりますと、やはり2時間前後は時間を要します。ですが、ダイジェスト版ですと15分ほどで内容を知ることができます。そうしたメリットから、ダイジェスト版を紹介するサイトをはしごするようになり、その中のひとつのサイトでこの映画が紹介されていました。

わずか15分ほどでしたが、それでも十分に感動的な映画であることが伝わってきました。そうした記憶がありましたので、たまたまアマゾンプライムのリストにこの映画がありましたので観ることにしました。

僕は毎週1回はアマゾンプライムで映画を観ているのですが、いつも選択に悩みます。あまりにたくさんありすぎて、どれを選んでよいのか迷ってしまうのです。

基本的に選ぶ際の目安にしているのは「題名」と「あらすじ」もしくは「解説」、そして評価の星の数です。それでも、毎回満足できるとは限らず、実際観始めてから10分くらいでやめることもあります。どれを選ぶかは本当に難しいものがあります。

そうした中、先週はたまたまダイジェスト版で「面白そう」と思ったこの映画「しあわせの絵の具」がありましので胸が高まりました。しかし胸の高まりとは裏腹に、心のどこかに「ダイジェスト版でだいたいの内容を知っていること」が引っかかっていました。やはり、話のあらすじを知っていますので、いわゆるネタバレ状態になっているからです。ですから、少しばかり不安な気持ちもありました。

やはり話の内容を知っていますと、感激とか感動という点でマイナスに作用します。それが不安でした。しかし、その不安は杞憂でした。反対に、僕が思ったのは「ダイジェスト版では本当の感動は得られない」ということでした。映画が「観る人に感動を与える」のはストーリー性だけではないことを実感しました。

話の内容がわかっていようとも、十分に感動することがあります。おそらくそれは俳優の方々の演技力です。今年はリアリティ番組がいろいろと物議を醸しましたが、中途半端な演出や演技は感動・感激どころか嫌悪感しか与えません。本当の感動は、努力と才能に裏打ちされた演技力があって初めて成り立ちます。そんなことを考えさせられた映画でした。

最近、ネットでは書籍をまとめたサイトが人気を集めているようです。ビジネス書関連に多いのですが、内容のエキスをまとめて紹介するサイトですが、今の時流に即しているのは間違いありません。今の時代は効率を重視する傾向がありますが、例えば200ページの本が50ページにまとまっていたなら、まさに効率的に本を読んだことになります。こうした理由で「ダイジェスト本」が人気を集めているように思います。

しかし、今回この映画を観ていて、それが間違っていることを実感しました。ダイジェスト版では本当の意味でその映画や本の核心に触れることはできません。大まかなことはわかっても、その機微に触れる本物だけが持つ細かな襞までを感じることはできないのです。

あくまでもダイジェスト版はダイジェスト版です。本物とは違います。そんなことを教えてくれた今回の映画でした。

また、次回。

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