愛唄

製作:日本(2019年)
監督:川村泰祐
出演者:横浜流星、清原 果耶、飯島寛騎

たまには日本の青春ものの映画も観てみようかと思い、この映画を選びました。アマゾンプライムトップ画面の一覧では、3人の若者が横に並んで走っている画像だったのですが、その画像から感じた第一印象は「韓国映画」でした。なぜにあの画像が使われているのかわかりませんが、今一つ内容と合わないように感じます。

僕はオジサンで、映画は若者向けですので観た印象がハマることはあり得ないと、最初から思ってはいました。ですが、それなりには面白かったです。そう感じるのは僕の心が若いからでしょうか(笑)。

それはともかく、それなりに楽しめましたが、オジサンの僕としては話の展開よりも登場人物などに関心が向いてしまいます。主人公の横浜さんは元空手の日本一に輝いた経歴の持ち主ですが、この映画はそうした経歴を全く生かせない内容でした。生かせないどころか、正反対の弱弱しい青年を演じていました。

歩き方や表情などは、演技指導を受けたのでしょうか、外見だけでしっかりと主人公になりきっていました。昨年、流星さんは吉高由里子さんと「きみの瞳(め) が問いかけている」という映画に主演していますが、この映画が関係しているように思います。エンタメ業界は、一つヒットすると似たような映画出演が続く傾向がありますが、もしそうであるならエンタメ業界の悪い慣習です。

主人公の二人以外で印象に残ったのは、ベテランと言われる女優陣が出ていたことです。中山美穂さん、富田靖子さん、財前直美さんたちです。これらのベテラン組に混じって、テレビのCMで見たことがある女優さんがいました。生命保険会社のCMで、シングルマザーとして頑張っている役を演じている方でしたが、そのCMで健気に頑張っているお母さん役がはまっていましたので、その演技が評価されたのかもしれません。

ベテラン女優の方々を見ていますと、芸能界の厳しさを感じずにはいられません。先に紹介した方々は、かつては主役を張っていた方々です。そうした実績がありながらも、時代の変化とともに自分が担える役に落ち着いていくようです。

中山さんはかつてはアイドルとして一世を風靡しましたが、著名作家との結婚を機に一度は芸能活動から離れました。その後、離婚を機に日本に戻ってしっかりと一度は主役を張っていました。その映画も観ましたが、かつてのアイドル女性が大人になった姿を全国に知らしめる内容の印象でした。

富田靖子さんは実力派俳優という評判だったように記憶していますが、最近ではNHK朝ドラの「スカーレット」で主人公戸田恵梨香さんのお母さん役も演じていました。そのときも思いましたが、かつての実力派俳優といえども、いつかはわき役になってしまうのですね。これは悪い意味で言っているのではありません。時代の変化を受け入れる度量があることに尊敬の念を持っているのです。

いつまでも昔の栄光に縋り付いていては、前に進めません。経営学者ドラッカー氏の「変化はコントロールできない」はどの世界にも通用するようです。財前直美さんに関しては、印象に残っている場面があります。

昭和時代に日本テレビの深夜に「11PM(イレブンピーエム)」という人気バラエティー番組があったのですが、そこでアシスタントを務めていました。元々は日本航空のキャンペーンガールだったのですが、そこから芸能活動を始め、デビュー当初はドラマの主演なども務めていましたが、代表作というものがない立ち位置でした。

そうした状況のときの「11PM」のアシスタントだったのですが、そのアシスタントを卒業するときに、当時のMCを務めていた三枝成彰さんに「これからどうしよう…」と本音とも冗談ともとれる言葉を発していた姿が記憶に残っています。俳優として代表作といえるほどの実績もない芸能界の人は生き残っていくのは大変なのは想像がつきます。

そうした状況での発言でしたが、三枝さんは財前さんの真面目さを高評価しており、「その真面目さがあるならこれからどんな困難があっても大丈夫」的な言葉を贈っていました。実際、現在まで派手さはないものの、しっかりと生き残っているのですから、三枝さんの言葉が当たっていたことになります。財前さんを観ていて、そんなことを思い出しました。

流星さんは一昨年、昨年と続けて活躍している印象がありますが、その理由は「真面目さ」にあるように思えて仕方ありません。空手で鍛えた肉体を持っていますと、アクション系に進みたくなるように思いますが、芸能界の厳しさを当初から認識しているように感じています。その謙虚さが現在までの活躍に結びついていると勝手に想像しています。つまり、僕は流星さんが好きなのですね。

流星さんについてばかり書いていますと、清原果耶さんに失礼ですので、清原さんについて書きますと、川口春奈さんに似ている印象でした。そこでネットで検索しますと、やはり「似ている」と思われているようですが、制服姿のときの足のシルエットが芸能人らしくない印象でした。これから少しずつ、芸能人らしいスタイルになっていくのでしょう。

余計なお世話と言われそうですが…。

それではまた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする