マチネの終わりに

2019年製作/124分/日本
監督:西谷弘
出演者:福山雅治、石田ゆり子、桜井ユキ、

あらすじ
クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)とフランスの通信社で働く小峰洋子(石田ゆり子)は、出会ったときから運命のようなものを感じていた。しかし洋子には婚約者がいて、さらに二人とも世界を飛び回っていたことから、関係は途絶えてしまう。

公開された当時、テレビでやたらと宣伝していたこともあって、観てみる気になりました。観始めて、最初に思ったのは画面から昔の日本映画の匂いを感じたことです。カメラワークのせいかもしれませんが、画面全体からそんな印象を受けました。

福山さんを観ていますと、僕は30年くらい前に放映されていた「愛はどうだ」を思い出してしまいます。まだ、ブレーク前の福山さんが出てくる緒形拳さん主演のホームドラマでした。このドラマ自体が面白かったからだと思いますが、そのときの福山さんがなぜか強く印象に残っています。

そして、当時の福山さんを思い出すと、その延長として思い出すのが、これもやはり新人の頃の時任三郎さんです。僕の記憶では、デビューしたての時任さんは新進気鋭のシンガーソングライターとして世の中に出てきたように思います。その時任さんが、化粧品のコマーシャルで二人の美女の間に挟まれて笑顔になっていました。いったいあのCMはどこのだったのでしょう。

時任さんは「ふぞろいのリンゴたち」というドラマに出ていたのが一番印象の残っていますが、その後、人気絶頂の頃に一時期芸能界から離れています。そうした生き方に「なんか素敵」と思った記憶があります。

いけね、「マチネの終わりに」でした。

マネージャー役の桜井ユキさんをみていて、「いつかこの恋を思い出して泣いてしまう」の森川 葵さんを思い出していました。僕がきちんと観た最後のドラマが「いつかこの恋~」ということもあるかもしれませんが、愛する二人を邪魔する役どころが心に刻み込まれています。しかし、確か、「いつかこの恋~」で二人を邪魔する危ない役どころは高畑充希さんだったような気がしないでもないですが、記憶が定かではありません。

まぁ、それはともかく「愛するふたりを邪魔する」設定の人は恋愛物語には必須要件です。そうした面でいいますと、この映画は韓国映画・ドラマを見ているようにも感じていました。すれ違い、すれ違い、は観ている人たちをハラハラドキドキさせます。

この映画の中で、「すれ違い」を画策したのは先ほど書きました桜井ユキさん演じる三谷早苗ですが、映画の終わりのほうで早苗が玄関で福山さんを送り出す場面は、なかなか心に迫ってくるものがありました。その前に、石田ゆり子さんに正直に告白する場面がありますが、心になにかがひっかかったまま人生を終えるのはなかなか難しいものがありそうですね。

生きていますと、嘘をついていた人間が、時を経て正直に嘘を告白する場面を見聞きすることがあります。一見すると騙された人を慮っているように見えますが、実は相手のことを思ってではなく自分自身のためです。この勘違いをしている人が意外に多いのですが、嘘を隠していることが辛くなり、耐えきれなくなるからです。決して、相手のことを思ってではありません。

自分の心の重荷を下ろしたいがばかりに、嘘を告白しているのです。間違っても正直者のいい人と思ってはいけません。そもそも嘘をついてはいけません。嘘をつかれたほうが損害を被るからです。もし、仮になんらかの理由で嘘をつかなければいけない状況に遭遇してしまったときは、それ相応の覚悟を決めて実行しなければいけません。そして、墓場まで持って行くのが人としての務めです。

原作を読んでいませんのであくまで想像です。一般的に格言的な言葉として「未来は変えられるけど、過去は変えられない」などと言いいますが、原作者の平野さんは「過去も未来によって変えられる」という哲学的な発想を伝えたかったのではないでしょうか。そんな気がしました。

それにしても、男の僕が、しかもおしゃれとは縁遠い僕が言うのもなんですが、石田さんの眉毛は太すぎではないだろうか…。

また、次回。

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