マンデラの名もなき看守

2007年製作
製作国:フランス・ドイツ・ベルギー・南アフリカ
監督:ビレ・アウグスト
出演者:ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバート、ダイアン・クルーガー、パトリック・リスター、

前にも書いたことがありますが、映画には「歴史を記録に残す」という目的・役割があります。南アフリカの人種差別を描いたこの映画もまさにその一つです。肌の色が違うだけで差別をするというおぞましい思想が、過去には法律においても制定されていました。

しかも、そうした社会がそれほど昔のことではないことに驚かされます。それどころか、米国では今もって差別が行われているという事実があります。せめてもの救いは心優しき正義感を持った白人の人たちちもいることです。この映画の主人公は、差別が悪いことと自覚していました。

人間というのは環境に染まるとその発想から中々抜け出せません。主人公の奥さんが、映画の最初のほうでは「黒人は野蛮だから差別も仕方ない、当然」と子供に諭す場面があります。思想はそうやって育まれていきます。教育の重要性がわかります。

僕が性善説をとるのは、そうした教育をする大人に育てられながらも、子供は分け隔てなく黒人と接します。映画の中でも「意味もなく黒人に暴力をふるう大人たち」に拒否反応を示す子供の姿が描かれていました。人間は元々は優しい性格の持ち主だと信じています。

それにしても、マンデラ氏を演じた俳優の泰然自若ぶりは感動ものです。もちろん本物のマンデラ氏もそうした人物だったことは間違いありませんが、それを見事に演じていました。繰り返しになりますが、そうした歴史が映画になっていることに大きな意義があります。

人種差別が続いていた南アフリカが差別を廃止することに転換したのは、国際社会が圧力をかけたことです。そうした過去を振り返りますと、今ミャンマーで起きているの軍事政権による独裁政治に対しても国際社会が手を携えて圧力をかけてほしいと思っています。ですが、現在の国際社会は当時とは異なり、一枚岩になるのは困難なようで各国の思惑が絡み合い、軍事政権に圧力をかけられないことがもどかしくて仕方ありません。

近い将来「アウンサンスーチーの名もなき看守」という映画が製作されることを願ってやみません。

また次回。

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