君が描く光

2016年製作/117分/韓国
監督:チャン
出演者:ユン・ヨジョン、キム・ゴウン

あらすじ
済州島の町で伝説の海女して知られるケチュンと孫娘のヘジは、お互いを見守りながら平和に暮らしていた。 そんなある日、ひょんなことから最愛の孫娘が失踪してしまう。 ヘジを探すために全力を尽くしたケチュンは、12年の歳月をかけてヘジを探し出す。 ようやくヘジと再会したケチュン。

最初はあまり期待せずに観始めたのですが、途中から完璧に引き込まれました。さすが韓国映画、といった感じです。最後の最後まで餡が詰まっているタイ焼きみたいに、最後まで観て初めてこの映画の素晴らしさがわかります。

実は、最後のほうの場面でなぜかデジャブ感を持ったのですが、自分でも真偽はわかりかねています。そこで、一応これまでに観た映画のリストを調べてみましたが、そこには載っていませんでした。あのデジャブ感はいったいなんだったのしょう。自分でも不思議です。

ヘジ役を演じたキムさんは奥二重で、韓国ふうな顔立ちですが、クリクリっとしたバッチリの二重でなくとも十分きれいで魅力的な顔立ちであることを証明していました。なにも、世界中のみんながみんな、アングロサクソン系の顔立ちになる必要もありません。

それにしても、おばあちゃん役を演じたユンさんの演技力は秀逸でした。韓国にはこのような実力のある俳優さんがたくさんいるのですから、傑作が生まれるのも当然です。物語の展開も、無理に引っ張るところもなく、スムーズさがあり、心地よい展開スピードでした。僕が初めて見た韓国のドラマは「冬のソナタ」ですので、「すれ違い」の連続でストーリーが展開しないというイメージがなきにしもあらずでした。悪い表現をするなら、「イライラする」ですが、この映画のようにストーリーがスムーズに展開しますと、すっきりした気分になります。

ヘジさんがソウルで友だちと暮らしていた部屋が半地下だったのですが、これが製作されたのは2016年です。一昨年韓国映画「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞を獲得しましたが、この頃からすでに格差社会があり、社会に浸透していたことがわかりました。

以前、コラムに書いたことがありますが、以前東北出身の80才くらいの女性とお話したときに、朝ドラの「あまちゃん」の話になったことがあります。そのときに、その女性が「海女」という職業の特殊性を、どちらかといいますとネガティブなニュアンスで話していたのですが、差別とか格差を連想させるものがありそうでした。この映画を観ていて、そのときの会話を思い出しました。

それはともかく、僕の心を感動させた素晴らしい映画でした。

それでは、さよならさよなら。

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