家族ゲーム

1983年製作/106分/日本
監督:森田芳光
出演者:松田優作、宮川一朗太、伊丹十三、由紀さおり

解説
 息子の高校受験のためにと雇った風変わりな家庭教師がやって来たことで一家に巻き起こる騒動を描いた傑作ホーム・コメディ。「の・ようなもの」の森田芳光監督が、現代家庭の抱える問題をシュールなタッチでユーモラスに描く。横一列に並んでの食事シーンなど斬新な表現手法が話題を呼んだ。出来のいい兄とは反対に、問題児の中学3年の弟・沼田茂之。高校受験を控えて、家庭教師としてやって来たのは三流大学の7年生でなぜか植物図鑑を持ち歩く吉本勝という奇妙な男だった……。
(allcinema ONLINEより引用)

今年のお正月は映画三昧の日々を過ごしていまして、年末と合わせますと7本くらい観たことになります。その中からこちらのコーナーで紹介するのをどれにしようか迷った末に選んだのがこの「家族ゲーム」です。

タイトルだけは有名で、のちにテレビドラマ化されていましたので、傑作ということだけは知っていましたが、あらすじ程度は知っていましたが、詳しい内容は知りませんでした。そうした過去の思いもあり、今回40年ぶりに観たのですが、第一印象は、僕がよく映画について書くときに使う表現なのですが、「日活映画っぽい」です。なんといいますか、青春って混沌としていますが、その混沌を表す画面づくりになっているように感じます。

暗い、というか、抽象的というか、そんな感じです。映画の中で家族がそろって食事をするシーンがあるのですが、普通家族が横並びで食事をすることはありません。それをやってのけているのですが、当時はその表現方法が斬新的と評価されたようです。監督の森田芳光さんも当時は若手の新進映画監督として名をはせていたのように思います。同じころに伝説の映画監督と呼ばれる長谷川和彦さんという方もいるのですが、それほど映画界に詳しくない僕でも知っている名前でした。

この映画がヒットした一番の理由は、やはりなんと言っても主演の松田優作さんです。松田さんといいますと、アクションがすぐに思い浮かびますが、アクションではなく普通の会話での絶妙さも魅力の一つです。どちらにしても、間違いなく言えることは圧倒的な存在感です。ただそこにいるだけで絵になるという感じです。

もちろん体格的にも一般の人よりも抜きんでていますが、それでも体格よりも存在感です。不思議な魅力としかいいようがありません。松田さんには2度の結婚歴がありますが、最初の奥様は作家として活動している方で、僕が知ったのはたまたまの偶然でした。

ある日本屋さんで棚を眺めていますと、残虐な事件を描いているノンフィクション作品を書いている作家さんが同じ名前であることに興味を持ちました。松田智恵子さんという方ですが、その方の来歴を見て行きますと、なんと松田優作さんの元妻と書いてあるではないですか。驚きでした。

智恵子さんは作家になるにあたり、優作さんから「自分とのことを書いていいよ」言われていたようです。つまり、自分を利用して「作家活動を軌道に乗せて」という思いがあったことになります。

その本には離婚したあとに、智恵子さんが新しい男性と結婚するにあたっての優作さんの対応が書かれているのですが、その中に新しく結婚する男性について優作さんが人物評価をするくだりがあります。二人はすでに離婚しているのですから、智恵子さんがどんな男性と結婚するのかは自由なはずですが、それでもなにかしら意見を言いたげな感じは、まるで父親であるかのようで、優作さんの人間味が描かれていて面白かったです。

文芸春秋デジタルの中で俳優の國村隼さんが松田優作さんについて語っているのですが、やはりその存在感は半端ではなかったようです。40才というあまりにも若い年齢でお亡くなりになったのが残念でなりません。松田優作さんはいったいどのような60才、70才になっていたのでしょう。

それでは、さよならさよなら。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする