泣くな赤鬼

2019年製作/111分/G/日本
監督:兼重淳
出演者:堤真一、柳楽優弥、川栄李奈、竜星涼

あらすじ
城南工業野球部の監督を務め、鬼のように厳しい指導と陽に焼けた赤い顔から赤鬼先生の異名を持つ小渕隆(堤真一)は、甲子園出場目前まで部を導くが、惜しくもかなわなかった。それから10年、小渕は50代になり野球への情熱も衰えていた。ある日病院を訪れた彼は、教え子だった斎藤智之(柳楽優弥)と再会する。そこで、野球のセンスに恵まれながらも高校を中退した彼が結婚し家庭を築いている一方、末期ガンで余命半年だと知る。
(yafoo映画より引用)

主演は堤真一さんですが、堤さん主演の映画はamazonプライムで多いように感じていますが、なにか理由があるのでしょうか。それはともかく、原作が重松清さんですので、感動ものであることは想像がつきました。

ですが、序盤は教師という職業についていろいろと考えさせられる内容になっていますが、教師という職業は人間という、しかも多感な頃に指導する役割を担っていますので、真剣に取り組めば取り組むほど袋小路に入っていくように想像しています。

見ながらちょっと思ったのですが、教師は卒業生と会うのはあまり好んでいないのではないか、思いました。なぜなら、人としてまだ発展途上である人間がもっと発展途上中である人と接しているのですから、あとから考えて後悔することが多いように思うからです。

親子関係でも、年齢のいった子供が「実は、子供のころお父さん(お母さん)のここが好きではなかった」と回想する場面をたまに目にすることがありますが、実際のところ親にしても完ぺきに子育てをできる、またはできたかは当の子供の人生が終わるまでわかるものではありません。

そういった意味でこの映画は、深く考えてみるなら困惑する場面もありそうです。しかし、映画的には、終盤は不治の病に侵された元生徒と先生の感動物語になっています。これは映画的には仕方ない部分があることはわかりますが、正直な感想を言いますと、せっかくの生徒、とくに不良生徒と厳しながらも生徒思いの教師との関係を描きながら、ありきたりなうすっぺらい印象になった感は否めません。

僕的には、主人公である生徒が「がんばっても、報われないこともある」と訴える場面は、もう少し深く掘っていってほしかったと思っています。また、競争に勝つことだけが人生の目標でないことを教えるのも教師の役割ではないでしょうか。

折しも、先日引退した体操の金メダル選手・内村航平さんが会見で「努力をしても失敗することを経験したのは大きい」と語っていましたが、全員が勝利をすることは不可能です。主人公の生徒が「自分から競争を降りた」と話していましたが、そういう選択をすることもあるのが人生と教えるも教師の役割のように思います。

池田晶子さんという哲学者がいたのですが、池田さんはある親御さんからの「これからは経済が重要になってくると思うので、学校では、経済やお金についてもっと教えてほしい」という相談に対して、「学校は、経済やお金以外にもっと大切なことがあることを教えるところ」と回答していました。そんなことを思い出させた映画でした。

それでは、さよならさよなら。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする