愛の囚人

2014年製作:ロシア
監督:イゴール・バラノフ
出演者:ポリーナ・アンドレヴァ、ピョートル・フョードロフ、ドミトリー・シェフチェンコ、エカテリーナ・ヴォルカヴァ

この愛は麻薬――激しく愛し合う男女の終わりのない過酷な運命。ついに解禁!ロシア発!美しいモスクワを舞台に絡み合う、果てしない愛憎と肉欲を描いた濃厚エロティック・サスペンス!

なんとなくエロティックなことを想像させる題名に惹かれて観たのですが、いい意味で予想をはずしてくれていて、ハリウッド映画みたいで壮大な恋愛映画でした。人によっては、「陳腐な展開」といいそうな感じではあるんですけど、僕はとても面白かったです。

このタイトルは「エロティックを期待している人を狙って作った」のかなぁ、と思ってしまうほど「内容とタイトルがマッチしてない」と思いました。このようなタイトルにしないと、「売れない」と配給会社は考えたのかもしれないですけど、そうした発想こそ売れない原因です。

製作がロシアなのですが、僕が驚いたといいますか、「へぇー」と思ったのは、価値観が僕が暮らしている、いわゆる西側諸国と共通していることでした。そのような価値観を持っているロシアが現在ウクライナに侵攻しているのが、本当に摩訶不思議です。テレビ局に勤めていてプーチンさんを批判した女性がいましたが、その方が「この戦争はプーチンひとりの戦争」と訴えていましたが、それが真実と思える映画の内容でした。

ちょっと大げさに言いますと、ハリウッドの大作「風と共に去りぬ」の縮小版といった感じで展開が早いのが見ていて飽きてこない理由だと思います。「長すぎる」とコメントを書いている人がいましたが、僕はあっという間の時間でした。

製作時期が、ソ連が崩壊してロシアになってから20年くらいになっていますが、西側と同じような映画作りを、ロシアの人たちも当時は求めていたことが想像できます。そんな感じを思わせる恋愛映画でした。「官能的」という表現の広告キャッチコピーにありましたが、そうしたコピーもまさに西側的です。官能的な場面が適時に出てきていましたが、その頻度などもまさにハリウッド的な手法という感じを受けました。

主人公を演じた男性も女性も十分に美男美女で観るに耐えられるレベルだったのもよかったです。個人的には男性主人公のパトロンになっていた中年女性が印象に残っています。昔「卒業」という映画があったのですが、その中に出てくる「ロビンソン」さんが思い浮かんできました。顔も似ていましたし…。

主人公の男性は顔の造りは全く似ていないのですが、生き方といいますか雰囲気がお亡くなりになったショーケン(萩原健一さん)を彷彿させるものがありました。

物語は、取調室での女性主人公の供述で展開するのですが、アップになったときの肌のツヤのカサカサぶりが、なんとも真実っぽくてとても好感しました。最後のオチもここでは書きませんが、なかなかよかったです。

最後に、このような素敵な恋愛映画を作る素養のあるロシアなのに、なんでウクライナに侵攻したのか、本当に怒っています。ロシアの人々は真実に目覚めてほしいと、切に切に願っています。

それでは、さよならさよなら。

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