はちどり

2018年製作/138分/PG12/韓国・アメリカ合作
監督:キム・ボラ
出演者:パク・ジフ、キム・セビョク、チョン・インギ、イ・スンヨン

あらすじ
驚異的な経済成長に沸く1994年の韓国、ソウル。14歳のウニは、両親、姉、兄と集合団地で生活している。小さな店の経営に追われる両親は子供たちと向き合う余裕がなく、兄は父に期待されている重圧から親の目を盗んでウニに暴力を振るっていた。自分に関心のない大人に囲まれ孤独感を募らせるウニは、通っている漢文塾で不思議な雰囲気を持つ女性教師ヨンジと出会う。(Yafoo映画より引用)

僕は映画を観るときは、事前にその映画の情報、簡単なあらすじとか解説を読んでから観ることにしているのですが、この映画の事前情報では、この映画の核になるのは塾の教師だと思っていました。

ですので、その教師とどのように出会い、主人公がどのように変化していくかが映画の主な要点だと想像していました。その意味で言いますと、その教師と出会うのが話の後半くらいに感じ、本題に入るまでが長すぎると勝手に思っていました。

しかし、観終わったあとに思ったのは、確かに塾の教師との出会いは重要ですが、核心とまでは言えない、ということでした。ですので、「本題に入るまでが長すぎる」という思い込みは少しばかり勘違いしていたようです。

塾の教師との出会いが「主題ではない」とした場合、この映画の主題は韓国の女子中学生の日常ということになります。その意味で言いますと、実に淡々と日々の生活が描かれていて、1990年代の韓国の日常を知るのには最適な映画といえそうです。

話が逸れそうで、そうでもない話しなのですが、僕は韓国語を見ていて、文字を書くには時間がかかりそうな言葉と思っていました。しかし、少し調べてみますと、「韓国語」という言い方は正しくないようで、韓国の文字は「ハングル」というそうです。話し言葉は特に不便さを感じることはありませんが、文字である「ハングル」は、やはり不便さを感じてしまいます。効率がすべて大切とは思いませんが、「ハングル」は文字を書くのに時間がかかるように思ってしまいます。

例えば、「さようなら」とひらがなで書く場合、2~3秒もあれば書き終えることができます。これをハングルで書くとなると「… … … …」となると表示させたいのですが、残念ながらテキストファイルでは表示できないようです。視覚ではお伝えできませんが、要は僕が言いたいのは「さようなら」とひらがなで数秒で書けるものが、ハングルではおそらく倍以上の時間を要するということです。

僕は自分の娘にとても字画の多い名前をつけてしまったことを、申し訳なく思っています。同じように、ハングルも書きたいことを書くのに時間がかかってしまうのではないか、と思っているのですが、韓国の方々はどのように思っているのでしょう。気になるところです。どこの国であろうとも、生まれ育った方々は自国に対してプライドを持っているものだと思います。ですので、僕が考えているハングルに対する思いとは別の思いがあるであろうことは容易に想像がつきます。僕の知らないことでハングルのメリットがあるのかもしれません。

それはともかく、「はちどり」です。実はこのタイトルがどのような意味を持っているのか気になっていたのですが、このサイト(https://cinemarche.net/column/2020oaff-hachidori/で的確な解説がなされていました。引用しますと、

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ウニ(主人公)が様々な出来事を経験しながら成長していく過程を、韓国社会の成熟への軌跡と重ねて描いてます。
羽ばたきの速度が早く、蜂のような羽音を出すもっとも小さな鳥「ハチドリ」というタイトルは、ウニ自身を指していると同時に韓国社会をさしている
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とてもわかりやすい解説です。韓国は北朝鮮と陸続きで対峙していますので、日本人には想像もできないほど緊張感があるのではないか、と想像しています。数年前から本屋さんには韓国の女性の本が並ぶことが多いのですが、韓国における女性の生きづらさを感じることができます。

僕は韓国映画を観ることが多いのですが、それらを観ていますと、今でも年長者を敬う気持ちとか血縁関係の重要さとか、社会の通底に横たわっている感覚の大きさを感じずにはいられません。しかし、今の時代がちょうどその転換期に当たっているのではないか、と思っています。

先の選挙で大統領が変わり、日本との関係を見直す方が就任しました。以前のように親しい関係になることを願っています。

それでは、さよならさよなら。

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