前科者

2022年製作/133分/PG12/日本
監督:岸善幸
同名漫画(原作・香川まさひと/作画・月島冬二)
出演者:有村架純、森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、石橋静河、

あらすじ
保護司を始めて3年となる阿川佳代は、この仕事にやりがいを感じ、さまざまな前科者のために奔走する日々を送っていた。彼女が担当する物静かな前科者の工藤誠は順調な更生生活を送り、佳代も誠が社会人として自立する日を楽しみにしていた。そんな誠が忽然と姿を消し、ふたたび警察に追われる身となってしまう。一方その頃、連続殺人事件が発生する。捜査が進むにつれ佳代の過去や、彼女が保護司という仕事を選んだ理由が次第に明らかになっていく。

アマゾンプライムのトップページにいきますと、この映画が紹介されることが多かったのですが、今一つ観る気になっていませんでした。ところが、今日はどうしたことが指がクリックしていたのです。ですが、実は観始めてから10分あたりを過ぎた頃に一度浮気をしてしまい、ほかの映画を探し出しました。しかし、今一つ面白そうな映画に出会えず、続きを観た次第です。

では、なぜ「10分過ぎあたり」で観るのをやめたか、といいますと、映画の内容に引き込まれなかったからです。その一番の要因は主人公である有村さんのヘアースタイルでした。うしろに束ねて顔全体を出しますと、顔の「でかさ」が気になって気になって仕方なかったのです。正直に告白しますが、僕は「ルッキズム」と非難されそうですが、第一印象はどうしても外見で判断してしまいます。有村さんの顔全体は僕の好みではありませんでしが。

しかし、昔から言われているように「美人は三日で飽きるが、ブスは三日で慣れる」ですので、顔が「でかい」有村さんに慣れてきました。そうしますと、あまり気にならなくなり映画に没入することができるようになっていきました。

ちょうど、30分を過ぎたあたりでしょうか。物語の展開に引き込まれていき、この先どうなるんだろ、と気をもむようになりました。映画の内容について書く前に、この映画で知ったのですが、保護司という仕事が無償とは驚きです。よくそうした待遇でなる人がいるものだ、と感心しました。

僕が観始めてから今一つだった理由は、西川和美さんが監督をした役所広司さん主演の「すばらしき世界」とオーバーラップしたからです。どちらも元服役していた人の話ですので、勝手に「二番煎じ」と思ってしまっていました。実際は、全く違う内容でしたが…。

先ほど、入り込めなかった理由として有村さんの髪型を上げましたが、あと一つありまして、それは有村さんの演技がしつこい印象、過剰な感じに思えたことです。ですから、その時点ではキャストの違和感を思わなくもありませんでした。ほかの人だったらもう少し違った印象になったのではないか…と。

ですが、終盤の話の展開はとてもよく素晴らしく、それまで感じていた映画のいくつかの難点を補ってあまりあるものでした。漫画が原作ということですが、漫画は意外と世の中のいろいろな問題点を切り取っていることが多いのですが、おそらくそうしたことがこの映画の奥深さにもなっているように思いました。

例えば、福祉関連の仕事に従事している人たちの人間性の問題とか正規社員と非正規社員の待遇の問題とか不公平問題とか、現在社会で問題になっていることをうまい具合に取り上げているように感じました。

この映画では刑事役の磯村さんが重要な役ですが、磯村さんはこの世代の俳優さんの中で、知らぬ間に頭一つ抜きんでた存在を発揮しているように思います。石橋静河さんが有村さんを支える役柄で出ていましたが、最後に名前を見るまでわかりませんでした。最後の場面でも登場しましたが、少し無理感があるように感じたのが正直なところです。

磯村さんのついて書きましたので、ついでと言っては失礼ですが、やはり若葉竜也さんについても書くべきでしょう。僕が最初に記憶に残ったのは朝ドラ「おちょやん」の出演したときです。それからいろいろな映画で見るようになったのですが、最近ではCMでも見かけるようになっています。もっとブレイクしてもいいのではないでしょうか。

最後に、この映画を観て一番思ったことを書きたいと思います。子どもの虐待など子供が育つ環境に問題があるときに対処する部門、職種に就く人は、心の底から子供が好きな人だけで就くように制度を決めるべきです。例えば、児童相談関連の事件などが報じられるとき、いつも思うのですが、その職種に就くべきではない人が就いているように思うことが頻繁にあります。こうした状況は、働いている本人も不幸ですが、一番の不幸は恵まれない状況の置かれている子供たちです。

いつか、そうした世の中になることを願ってやみません。

それでは、さよならさよなら。

追伸:森田剛さんの演技も素晴らしかったです。

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