青天の霹靂

2014年5月24日公開
製作:2014年(日本)
監督:劇団ひとり  原作:劇団ひとり
轟晴夫:大泉洋
花村悦子:柴咲コウ
轟正太郎:劇団ひとり
村上医師:笹野高史
雷門ホール支配人・丸山:風間杜夫

あらすじ
39歳で鳴かず飛ばずのマジシャン、轟晴夫。夢も希望ももはや消えかけている彼に追い討ちをかけるように絶縁状態だった父の訃報が届く。愕然とする彼の頭の中に閃光が走る。すると40年前にタイムスリップしてしまった彼はそこで若き日の父と母に出会う。
(映画ナタリーよりhttps://natalie.mu/eiga/film/162997引用)

正直に言いますと、上映時間が「96分」でお笑い芸人の「劇団ひとり」さんが監督ということで、しかもタイムスリップものというありきたりになりそうな内容で、あまり期待していなかったのですが、話の中盤以降から断然、物語に惹きこまれました。監督業が本来ではない、もっと言いますとお笑い芸人が監督を務めた作品ですので、話題作りの意図が強いのかなぁ、と思っていました。ところが、半端な作品ではありませんでした。

その意味で言いますと、この監督にしてはよくこれだけ豪華な顔ぶれの俳優陣が出演してくれたものだなぁ、と感心しました。また、それなりにお金もかかっているのは観ていて感じました。こうした状況から鑑みますと、出資者の期待がわかるというものです。

それに、素人の僕がいうのもなんですが、真上から撮ったりなどカメラワークがお笑い芸人とは思えないのですが、そうしたカメラ手法が自分の発想なのか、それとも撮影監督なる人がいてアドバイスなのか判断がつかないほど、カメラワークの素晴らしさに感動しました。

映画全体に昭和の匂いがプンプン漂っているのですが、これは劇団ひとりさんが昭和に魅力を感じているからのように思います。僕はまさに昭和の中枢を生きてきた人間ですので、その魅力に取りつかれましたが、ほかの人たちはどうなのでしょう。しかし、興行成績もそれなりに好成績を上げていますので成功の範疇に入るのではないでしょうか。

それならば反対に、劇団ひとりさんはもっと監督業に進出する状況になってもよさそうなものですが、そうはなっていません。映画監督業に進出したお笑い芸の先輩である北野武さんは初監督のあとに次から次への作品を発表できていますが、劇団ひとりさんは同じような展開になっていないのが現実です。映画業界は閉鎖的な面があり、ほかの業界の人が監督に進出してくるのをあまり快く思わない雰囲気があります。北野監督は本当に稀な例で、それが可能だったのはカンヌで大賞を獲ったからではないか、と思っています。単に興行成績がいいだけでは、監督業を続けるのは難しいようです。

作品について感想を述べますと、劇団ひとりさん演じる正太郎が大泉さん演じる晴夫に本心を伝える土手の場面に感動しました。また反対に、楽屋裏で晴夫が正太郎に自らの願いを訴える場面も秀逸でした。またまた柴咲コウさん演じる悦子と晴夫のやりとりも見ていて涙が止まりませんでした。

同じ親子物で重松清さん原作の「とんび」という映画もありますが、こちらはまだ見ていないのですが、なんとなく「晴天の霹靂」の映画のほうがいいのではないか、と思っています。勝手なことを言って申し訳ないですが…。

それほど素晴らしい映画だった、ということでお許し願いたく候…。

僕的にはもっともっとヒットしてもよかったのではないか、と思っているのですが、僕が思うほどヒットしなかったのはタイトルに原因があるように思っています。「晴天の霹靂」は縣ぐるしい印象がしてあまり心に刺さりません。もっと違う素敵なタイトルにしていたなら、もっとヒットしていたでしょう。

そうだなぁ、僕なら「あなたのおかげ…」なんてどうでしょう。どちらの立場にたっても「あなたのおかげ」なんです。…人生って。

それでは、さよならさよなら。

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