ラストレター

2020年製作/121分/G/日本
監督:岩井俊二
出演者:松たか子、広瀬すず、福山雅治、神木隆之介

あらすじ・解説
「Love Letter」「スワロウテイル」の岩井俊二監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いから始まった2つの世代の男女の恋愛模様と、それぞれの心の再生と成長を描いたラブストーリー。
姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。
(映画.comより引用)

最初に心の丈を言ってしまおう。☆ほし~5つ~!!! とってもよかったぁ。

岩井俊二監督は天才だぁ!

こんなふうに叫びたくなるほど、とても感動する映画でした。前に、岩井監督は映像の美しさが素晴らしいという論評を読んだことがありますが、いろいろな場面でそれを感じました。最初にそれを感じさせたのは、主人公の広瀬すずさんと男子高生役の神木君が初めて出会い、そして自転車に乗っていく場面です。空から二人の動きを追うのですが、そこからそのまま花と蔵のような建物を映すカメラワークは、(僕は素人ですが…)まさに映像の美しさでした。

またこの場面で強い印象を与えたのは、マスクの持つ効果についてでした。マスクをしているときの顔のイメージとマスクをしていないときの顔のイメージの違い?、落差について表現していました。

この映画は2020年の製作なんですけど、たぶんもうコロナが流行っていたと思うのですが、そうした違和感を映画で表現しているのがすごいなと思いました。マスク越しできれいだと、マスクをとったときの顔も期待してしまいますよね。広瀬さんくらいきれだと期待以上で感動することがありますが、そうでない場合もあるのが人生というものです。

もし、一般社会に、広瀬すずさんほどきれいな人がいたら、そりぁ、みんな、興奮しますよねぇ。その広瀬さんはいろいろな監督、例えば是枝裕和さんとか李相日さんの映画に起用されていますが、僕が思うに、広瀬さんの魅力を最も引き出しているのはこの映画の岩井さんではないでしょうか。そう思わせるほど、広瀬さんにピッタリな映画でした。

一つだけ気になったのは、広瀬さんが高校生の制服のまま体育座りをしている場面でした。女子高生が畳に座るとき、体育座りが一番すんなりと溶け込むのかもしれないですが、カメラワーク的には盗撮的になる可能性もあり、少しばかり引っかかりました。岩井監督の頭の中をのぞいてみたい気分です。

広瀬さんは本当に適役だったのですが、この映画は全体的に配役の妙を感じます。森七菜ちゃんのアップの涙も秀逸!でしたし、小室等さんがまさか出てくるとは思いもしませんでした。豊川悦治さんはあの役にピッタリでしたし、その女房役の中山美穂さんもうらぶれた水商売の女をこなしていました。

後半で、福山さんがかつての校舎を歩いているときに、偶然元恋人の娘さん(広瀬すずさん)に会うのですが、そのとき初めて会ったにもかかわらず、娘さんが福山さんを言いあてる場面があります。娘さんはそれまで手紙のやり取りをしており、母親の手紙なども読んでいたので直観が働いたのでしょう。

実は、僕もそれまで全く会ったことがない人を言い当てたことがあります。僕がコロッケ店を営んでいたときの話ですが、僕の娘の親友Aさんがお店の近所、車で10分くらいのところに住んでいました。Aさんには妹さんがおり、この妹さんは結婚していましたので別世帯で、やはり車で10分ほどのところに住んでいました。

娘からAさんやAさんの娘さんの話をいろいろと聞いていたのですが、実際に会ったことがあるのはAさんだけで、しかもたったの一度だけでした。このような状況で、ある日若い女性が店頭に現れました。見た瞬間、僕はなぜか「Aさんの妹さんですよね」と口走っていたのです。自分でもわからないのですが、見た瞬間に口から出ていたのです。僕は人間ではないのかもしれません。

そんな昔のことを思い出させてくれた素晴らしい映画でした。すずちゃんは今、山崎賢人君と噂がありますが、「是非とも幸せになってほしい」と願わせた映画でした。

繰り返しになりますが、☆5つ~!。

それでは、さよならさよなら。

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