夏物語

2006年製作/116分/韓国
監督:チョ・グンシク
出演者:イ・ビョンホン、スエ、イ・セウン

あらすじ
60代になっても独身を貫いている大学教授ソギョンは、かつての教え子で放送作家のスジンから、“初恋の人を探すテレビ番組”の出演を依頼される。ソギョンは戸惑いながらも、スジンに1冊の本を差し出す。そこには、時代の波によって引き裂かれた男女の切ない愛の物語が隠されていた……。

韓国のイケメン俳優「イ・ビョンホン」さんが主演を務めるラブストーリーなのですが、おそらく韓国では最も西洋ふうの顔立ちのイケメンなのではないでしょうか。韓国には韓国ふうのイケメンと二種類の顔立ちがありますが、西洋ふうの典型がイ・ビョンホンさんだと思うほどのイケメンです。

韓国という国はほんの50~60年くらい前はまだ独裁政権だったことを思い起こさせる内容の映画多いのですが、この映画でもそうした要素が描かれていました。僕の年代ですと、国家破産をして国際機関から莫大な借金をした光景が思い出されますが、現在では「賃金において日本を追い越している」という報道を目にしますと、隔世の感があります。

隔世の感を一番に思い出させるのは、都市部の学生が地方にでかけ農業を体験する場面です。中国でも「下放政策」という似たような運動がありましたが、それを思い出しました。地方での生活を描いた場面を見ますと、韓国の50年~60年の文明の進歩を思わずにはいられません。本当にすごい進化であり、進歩です。

韓国映画を観たときのいつも「韓国映画にハズレはありません」書いていますが、今回も同様の感想です。終盤での一気の感動場面は本当に見入ってしまいました。主演の二人の演技力にも感動でした。

特に取調室での二人の演技、そしてイ・ビョンホンさんが連れていかれるとき、最後の思わずスエさんに近寄り抱きしめる場面は秀逸でした。涙なしでは観られない場面でした。最後に主人公が石が敷き詰められた光景を眺める場面が出てきますが、もしかしたならこの監督はこの光景がなにかしらのヒントになっているのではないか、と想像しました。

全体的に素晴らしい映画でしたが、ただ一つ脚本的に違和感を持ったところがありいます。それは、年老いたイ・ビョンホンさんが主人公の女性を探し求めて二人が出会った地方に出かけ、写真で懐かしむのですが、それならば、消息を絶ったときにすぐにそこに探しに行けばよかったのに…」と思ってしまいました。

僕の思い違いかもしれませんが、そこのあたりの辻褄が合わないように感じました。ですが、全体的に見ますと、そうした違和感は些細なもので感動の大きさに変わりはありません。なにしろ、これを観ながら僕は「妻を大事にしよう」と思ったのですから…。

それでは、さよならさよなら。

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