2023年製作/127分/G/日本
監督:成田洋一
出演者:福原遥、水上恒司、 松坂慶子、中嶋朋子、出口夏希、伊藤健太郎、
あらすじ
親にも学校にも不満を抱える高校生の百合は、進路をめぐって母親とケンカになり、家を飛び出して近所の防空壕跡で一夜を過ごす。翌朝、百合が目を覚ますと、そこは1945年6月の日本だった。通りがかりの青年・彰に助けられ、軍の指定食堂に連れて行かれた百合は、そこで女将のツルや勤労学生の千代、彰と同じ隊の石丸、板倉、寺岡、加藤らと出会う。彰の誠実さや優しさにひかれていく百合だったが、彼は特攻隊員で、間もなく命懸けで出撃する運命にあった。
amazonプライムでここ最近「おすすめ」されていたのですが、ひねくれものの僕は、ヒットした作品はあまり観る気になりません。その僕が観る気になったのは、あるきっかけがあります。それは、オリンピックの卓球でメダルを獲得した早田ひな選手が記者会見で、記者から「オリンピックが終わって、なにがしたいですか?」と質問されたときに、「鹿児島の特攻資料館に行ってみたい」と答えたことです。
僕からしますと、とても唐突な感じがしたのですが、最初は早田選手の口から「特攻資料館」が突然に出てきた理由がわかりませんでした。ところが、ある日突然、この映画と早田選手の特攻資料館が結びつき、もしかしたら「早田さんはこの映画を観た影響かも」と思いました。真相はわかりませんが、なにかしらこの映画が関係しているのは間違いと勝手に想像しています。
そういうことがあって、この映画を観てみようと思ったのですが、そもそもこの映画は戦争の悲惨さを訴えるというよりも、若い男女の純愛を前面に出す戦略だったように思います。その証拠に、宣伝キャッチコピーも「純愛ストーリー」を訴える感じだったように記憶しています。ですので、観る前「は純愛ストーリーもの」というつもりで観はじめました。また、この映画の原作本が本屋さんで長い間ランキングの上位に入っていたのですが、ジャンルが「文芸」というよりは「ライトノベル」の括りに入っていたことも関係しています。
ところが、あにはからんや、この映画は、ライトノベル的とは思いますが、単純な「純愛ストーリー」ではないように思いました。十分に、立派なガチガチの「反戦映画」だと感じました。そうしますと、逆にこういう内容で「よく若い人に人気が出たものだ」と不思議な気分にもなりました。若い人はあまりに重いテーマであるがゆえに「白けた」というか、気持ちが引いたりはしなかったのでしょうか。
そこで、宣伝する側の視点で考えてみますと、「反戦」を前面に出さずに、「純愛ストーリー」を前面に出したのは、言うまでもなく「反戦」よりも「純愛」のほうが若い人に訴えやすいからです。それとあと一つ思ったのが、「反戦」をあまりにも前面に出しすぎますと保守派から得も言われぬ反感を受け、炎上する可能性を考えたからもしれません。
それはともかく、ストーリー的には本当にシンプルですが、それでも、というかそれだからこそ、若い人の心を掴んだのですから、僕はそれはそれでいいことのように思います。こういう映画を観て、若い人が「戦争に反対」と思ってくれたら本当に最高です。
そして、戦争をしない、戦争を仕掛けられない国にしてくれそうな政治家を選ぶようになってほしいと心から願ってやみません。
それでは、さよならさよなら。