少年の君へ

2019年製作/135分/G/中国・香港合作
監督:デレク・ツァン
出演者:チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー、イン・ファン、チョウ・イエ

あらすじ
いじめが主題の中国映画。孤独な女子高生チェン・ニェンは成績優秀で、大学受験を一ヶ月後に控えていた。一流大学に進めば輝かしい将来も夢ではない。貧しい母子家庭に暮らすチェン・ニェンは、いじめが横行する進学校で、受験だけに集中しようと必死だった。ところがある日、チェン・ニェンは、不良たちにリンチされるチンピラのシャオベイを、思わず庇ってしまった。

クラスメートの「いじめ自殺」について警察に話し、主犯格の女子生徒ウェイから狙われるチェン・ニェン。暴力に耐えかねたチェン・ニェンは、親しくなったシャオベイにボディーガードを依頼した。それでも大勢に囲まれ、髪を切られて裸の動画まで撮られるチェン・ニェン。責任を感じたシャオベイは、チェン・ニェンの無残に残った髪を剃って丸坊主にすると、自分の頭も剃り上げた。

いじめの主犯ウェイが変死体で発見された。疑われるチェン・ニェン。だが、逮捕されたのは罪を被ったシャオベイだった。青年刑事のチェン・イーはチェン・ニェンが真犯人だと見抜き、彼女を責めた。初犯で過失致死のチェン・ニェンなら数年の刑だが、前歴のあるシャオベイは遥かに罪が重くなるのだ。

全国統一入試に高得点で合格するチェン・ニェン。だが、直後に彼女は罪を認めて服役した。数年後、刑期を終えたチェン・ニェンは地味な教師になっていた。いじめられる弱いタイプの女生徒に付き添って歩くチェン・ニェン。その背後には、ボディーガードするシャオベイの姿があった。
(ウィキペディアより引用)

いやぁ、久しぶりに面白く、感動する映画に出会った感じです。最初に書いておきますが、出演者が日本の俳優さんに似ていて、主役のチョウ・ドンユイさんは最近人気と演技力で富に評価が高い伊藤沙莉さんに、不良青年役のイー・ヤンチェンシーさんは伊藤淳史さんに、若い刑事役のイン・ファンさんは柔道一直線の桜木健一さんに、悪役女子高生のジョウ・イエさんは岡田奈々さんに、それぞれ似ていました。

そうしたことは一先ず置いておいて、この映画は中国の製作ですが、米中関係が悪化していなかったなら「アカデミー賞」にもノミネートされていたんじゃないかな、というくらい素晴らしい作品でした。主人公二人の演技力も秀逸で最後のほうで二人が向かい合うシーンはただ見つめ合うだけの演技ですが、胸からこみあげるものがあって、涙があふれてきました。

こうした映画が中国で製作されていることを思うとき、どうしてもモヤモヤした気分になってしまいます。この映画は中国での「学校におけるいじめ」を取り上げていますが、日本のいじめと全く同じ構造になっています。映画のはじめに「世界的にいじめが問題になっている」と表記されていますが、世界共通の問題のようです。

中国であっても日本同様に「学歴社会」と「いじめ」が社会問題化、そうした社会を改善する方向へ向かうべきこうした映画がつくられているように思います。実際、映画の最後に主人公役の俳優さんが「いじめはよくないこと」と訴えていますが、その中国が国家として他民族を迫害しています。それが僕には不思議で不思議でなりません。

中国による他民族の迫害とは「新疆ウイグル族」に対するものですが、それはまさしく「民族へのいじめ」にほかなりません。この映画が製作されるということは、いじめを糾弾する意志があることですが、国家がいじめ(迫害)を行っていることに対する問題意識は起きないのでしょうか。

みんなが公平に暮らせる社会にするためのはじめの一歩は、「いじめの根絶」です。

それでは、さよならさよなら。

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