ブロンクス物語 愛に包まれた街

製作国:アメリカ上映時間:121分
監督:ロバート・デ・ニーロ
出演者:ロバート・デ・ニーロ、チャズ・パルミンテリ、リロ・ブランカトー、フランシス・キャプラタラル・ヒックス、キャスリン・ナルドゥッチ、クレム・カセルタジョー・ペシ

あらすじ・解説
解説:  主役であるC・パルミンテリーのオフ・ブロードウェイで大評判をとった舞台作品(一人芝居)を本作が監督デビューとなるデニーロが映画化。9歳の頃、街の顔役の殺しをかばう偽証をしたことで一目置かれ、闇の世界への憧れを強く抱える青春を送る少年が、黒人少女に恋をし、彼らとの抗争の中で葛藤して、より人間的な生き方に目覚めていく姿を、ジャズやR&Bのスタンダードを絶妙に配して、伸びやかに綴っている。
(allcinemaより引用)

意外にamazonプライムでは☆が5つに近い評価を受けるのは少ないのですが、この映画は4.5でしたので観ようと思いました。そして結果とはいえば、☆の数に違わぬ内容といって差し支えないでしょう。

僕がロバート・デ・ニーロといって思い出すのは、やはりなんといっても「タクシードライバー」です。タクシードライバー演じるデ・ニーロが娼婦になっている少女を業界から救い出す内容なのですが、その根底にあるのは弱者とか虐げられている人たちに対する優しさです。

この映画もいろいろな要素を含んでいますが、やはり根底にあるのは社会の底辺といっては失礼ですが、いわゆる庶民といわれる人たちの世相を映し出しています。それにしても、米国と言う国は人種によってきっちりと分かれていることを知らされました。漠然とは思っていましたが、地域というか場所によって生活空間が完璧に分かれている光景はやはり衝撃的です。

ロバート・デ・ニーロさんの魅力はなんといっても、屈託のない笑顔なのですが、久しぶりに見てその屈託のなさを思い出しました。そこで、また一つ思い出したのが、僕がラーメン店時代にアルバイトをしてくれていた「福ちゃん」でした。「福ちゃん」とは昨年30年ぶりに会ったのですが、その笑顔がロバート・デ・ニーロさんでした。昨年会った時に、「だれかに似ているな」とは思ったのですが、誰だかわからなかったのですが、今日映画を観てロバート・デ・ニーロさんであることを確信しました。

最初の方では子役が出てくるのですが、この子の演技が素晴らしい!です。ハリウッドは人材が豊富なんですね。出だしは軽快な音楽流れて、「なんか以前、観たというか、感じた映画だなぁ」と思っていましたが、「アメリカングラフィティ」と「スタンドバイミー」の雰囲気が漂っていたからでした。

しかし、事件から一転して重い雰囲気に転換するのですが、そのあたりの展開ぶりが印象に残っています。その場面は、ロバート・デ・ニーロの子供が目撃者として刑事に顔見世を要請されるところですが、この場面で一気にドラマになっていきます。そして、少しずつ、社会の問題点というか重さを描いていきます。

この映画はいろいろな要素を含んでいると書きましたが、今の時代でいいますと「くそどうでもいい仕事」についての考え方も描いています。真面目なバス運転手である父親とギャングの親分を対比させて、子どもの心情を描いているのですが、子どもが「汗を流さず」お金儲けをするギャングに憧れるのは当然です。しかし、最後は真面目な父親の存在価値を認めさせて終わっていますから、これも「タクシードライバー」で描きたかったこととつながっているように思いました。

経済評論家の勝間和代さんがネットで「『労働収入こそ善である』という”正義中毒”が貧しい日本をさらにダメにする」という記事を書いていますが、これはいつの時代も問題になる提議ではないでしょうか。僕が思うに、みんなが労働収入をないがしろにしてしまうと社会が回らなくなります。全員が監督になっている野球チームは絶対に優勝できません。やはり現場で動いている人たちがいて初めてチームは成り立つのです。勝間さんの論にはそれが欠けているように思います。

そうしたことを考えさせられる映画でした。

それでは、さよならさよなら。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする