チルソクの夏

2003年製作/114分/日本
監督:佐々部清
出演者:水谷妃里、上野樹里、桂亜沙美、三村恭代、

ストーリー
2003年(平成15年)の夏に久しぶりに開かれた関釜陸上競技大会。この大会にスタッフとして参加した郁子は、自分がかつて走り高跳びの選手として参加した1977年(昭和52年)の大会を回想する。

1977年(昭和52年)の夏、郁子は、同じ高校の真理、巴、玲子と共に釜山で開催された親善陸上競技大会に参加し、自分と同じ走り高跳びの選手である安大豪に声をかけられる。「Five centimeter back」という彼のアドバイスに従い、彼女は165cm?の記録を出す。その夜、戒厳令の中にもかかわらず、宿舎に会いに来た彼に郁子は好意を持ち、二人は来年また会おうと約束をする。そして、海峡を越えた文通が始まる。
(ウィキペディアより引用)

まず感想を言いますと、本当にシンプルに「面白かった」です。青春映画という感じですが、政治的な問題や社会派的な要素も入っていて時事に詳しくなり、ためになる映画だと思いました。先日韓国の尹大統領が来日しましたが、現在の政権まで日韓は「戦後最悪の関係」と言われていました。そうした状況を改善すべく昨年大統領になった尹大統領が来日したのですが、そうした時期に僕がこの映画を数あるamazonプライムの中から選んだのもなにか因縁めいたものを感じます、なんて書きますとちょっと大げさですか…。

2003年製作ということでしたので、「冬のソナタ」が日本でブーになった時期を調べたところ同じ年でした。韓国は金大中大統領が日韓関係の改善に動いた初の大統領ですが、金大中大統領の関係改善から「冬のソナタ」が放映され、「韓流ブーム」が起きました。そうした時期に製作された映画ということを考えますと合点がいきます。

映画の中で日本人の嫌韓感情や反対に韓国の対日嫌悪感などもあからさまに描いていますが、そうしたことが可能になっていたこと自体に意味があるように思います。製作年が2003年ということは20年前ということになりますが、ほんの少し前まで日韓は関係を閉ざしていたのを思うと本当に国家間の歴史はむずかしいものがあります。そうしたことを乗り越えて、やはり日韓は仲良くなってほしいと思っています。

それはともかく本来俳優でない山本譲二さんやイルカさん、または陸上部というのが理由だと思いますが、元陸上選手の谷川真理さんも立派に演技をしていたのは驚きです。イルカさんはほんのチョイ役でしたが、山本さんは俳優のような演技をしていたのは本当に尊敬ものです。

個人的な感想ですが、主人公の水谷妃里さんは僕の好みの顔立ちなのですが、原田知世さんとか若い方では多部未華子さんに似ていてとても魅力的で、「もっと売れてもいいのに…」と思っています。プロフィールを見たところ、あまり「売れたい気持ちが強くない方」のようにお見受けしましたが、実際はどうなのでしょう。

最後の場面のほうで、日韓関係とか北朝鮮との関係など政治的なメッセージが訴えられていましたが、僕はそういうのが好きですのでとてもよかったです。主人公が新聞配達をする場面で長い階段を上る場面があるのですが、下関という地域は坂道が多い印象を受けました。それで思い出したのが、キムタクが弁護士の役をやっていたドラマで韓国ロケがあったときの映像です。その場所がやはり階段が多い場所でしたので、僕の中では下関と韓国は似ているように感じています。

全体的に言って、とても好感した映画でした。青春映画には「走る場面」が多いのが特徴ですが、決して余分な印象は受けず、しっかりと青春が伝わってきました。お涙頂戴の感動する内容ではなかったのですが、涙が出てきたのは年のせいでしょうか。

映画では、若い頃を思い出している場面が主で、最初と最後の場面に現在(年をとった中年になっている)が描かれているのですが、女性の主人公は若い頃と中年になった女性の両方が出てきます。つまり中年になった女性が高校生役の女性とどこか似ていて、「ああ、同じ人物だ」と思わせる必要があるのですが、まあまあ違和感なく見ることができました。

そして最後の最後が、韓国側の主人公の方が年齢を重ねた俳優さんが出てくる場面だったのですが、学生のときの俳優さんがかなりイケメンでしたので、いったいどんな中年俳優が登場するのが期待していました。ところが、監督はその男性をかなり遠目からのカメラで描いていましたので顔までは映さずに終了となっていました。

期待はずれだと映画全体に影響しますので、この終わり方は、僕としては「なかなかのアイデアでよかった」と思っています。

それでは、さよならさよなら。

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