ザリガニの鳴くところ

2022年製作/125分/G/アメリカ
監督:オリビア・ニューマン
出演者:デイジー・エドガー=ジョーンズ、テイラー・ジョン・スミス、ハリス・ディキンソン、デヴィッド・ストラザーン、スターリング・メイサー・Jr

あらすじ
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、”ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。法廷で少しずつ語られていく、カイアが辿ってきた想像を絶する半生。浮かび上がる殺人の動機と、一向に見つからない決定的証拠。事件の真相に辿り着いたとき、タイトル「ザリガニの鳴くところ」に込められた本当の意味を知ることになる――。(Filmarks映画情報より引用)

以前、町山智浩さんが推薦していたので、観る気になったのですが、奥が深い印象を受けました。主人公は町はずれの湿地帯に孤独に生きる女性ですが、湿地帯の動植物を描くのを特技としています。そして、その特技で出版までこぎつけるのですが、奇しくも今NHKの朝ドラでは牧野万太郎が主人公で、万太郎の特技もまた植物をとても丁寧に描き、植物図鑑を作るのですが、映画の中で主人公がきれいなイラストを描く場面を見ながら朝ドラを思い起こしていました。

この映画の主は庶民とエリートの対比でもあるように思いますが、主人公が「陪審員に無罪を懇願するのはまっぴら」「彼らが裁くのは私ではなく、彼ら自身だ」と訴える場面があります。今の時代でも「差別」が問題になることがあるのですから、昔はもっと激しい「差別」が常態化していたと想像します。人間って全然進歩していないんだなぁ、と愚かしさを思わずにはいられませんでした。

この映画を観る前の段階で、アマゾンプライムで「吹き替え版」と「字幕版」を選ぶところがあったのですが、「吹き替え版」が無料で、「字幕版」は400円と有料になっていました。当然、僕としては無料のほうがうれしいのですが、なんとなく「吹き替え版」には抵抗がありました。そこで「無料版」を無料で見る方法はないものか、と思案した末、あることを試してみました。

それは、「吹き替え版」を選択したうえで、画面上で「音声」で英語を選択し「字幕」で日本語に設定しました。すると、どうでしょう。なんと僕は「字幕版」を無料で観ることができたのでした。是非、お試しあれ! それにしても、なぜ「字幕版」を有料にしたのか意味不明です。

また、タイトルには少しばかり違和感を持ちました。タイトルの言葉がこの映画の最後の場面で出てくるのですが、おそらく配給会社の担当者はそれを見て決めたのだと想像しますが、話の内容とはちょっと違うような気がしました。違うタイトルにしたならもっとヒットしたのではないでしょうか。前にも書いたことがありますが、配給会社はもう少し「タイトル」に工夫する余地があるように思います。

しかし、トータル的な感想としては、久しぶりに見応えのある映画に出会った感じです。その証拠に、125分が少しも長いとは思いませんでした。うれしい。

それでは、さよならさよなら。

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