ハッピーログイン

製作:2016年(韓国)
監督:パク・ヒョンジン
出演者:イ・ミヨン、チェ・ジウ、キム・ジュヒョク、
ユ・アイン、カン・ハヌル、イ・ソム

やはり韓国映画は素晴らしい、の一言に尽きます。実は、観始めてからしばらくは「つまらなく」感じていました。主人公は6人くらいいるのですが、話が四方八方に散らばっていて話の全体像がわかりにくかったからです。また、かつて日本のテレビドラマに「男女7人夏物語」という番組がありましたが、それを思い出せる感じがしたことも影響しています。

「男女7人夏物語」は1987年に放映されたドラマですが、主演が明石家さんまさんでした。さんまさんは大竹しのぶさんと結婚していますが、二人が出会ったのはこのドラマです。僕は観たことがありませんが、当時はかなり人気のドラマでした。その証拠に続編として「男女7人秋物語」も制作されています。

冒頭に書きましたように、最初は我慢しながら観ていたのですが、次第に話の内容に引き込まれました。話のテンポが早かったからだと思いますが、もう少し展開が遅かったなら、観るのをやめていたかもしれません。

この映画に限らないのですが、韓国の俳優の方はかなりの割合で似ている日本人俳優さんがいます。今回も幾人かいましたので、「似ているシリーズ」としてツイッターにあげてしまいました。あと少しで観るのをやめるのを踏みとどまらせた理由として「話のテンポが早かったから」と説明しましたが、あと一つ理由があります。それは「チェ・ジウさん」の存在です。

「チェ・ジウさん」と聞いてピンとくる方はかなり年を召した方です。そうです。あの「冬のソナタ」のヒロインです。日本での韓流ブームのきっかけになった人気ドラマですが、「泣きのチェ・ジウさん」として有名でした。この映画では、そのイメージを逆手にとっての「泣き」の場面があるのですが、ラブコメディーですのでご愛敬という感じで描いていました。とても面白かったです。

「冬のソナタ」は2003年にNHKで放映されていたのですが、もう18年も経つのですね、驚きです。僕はラーメン店をその3年前に廃業しているのですが、もしラーメン店を続けていたなら放映時間的からしますと観ることはなかったはずです。その意味でも思い出に残っているドラマです。妻と二人で毎週日曜の夜11時にテレビの前に座っていました。

この映画に話を戻しますと、題名が「ログイン」となっていますが、今のSNS時代にふさわしい題名といえそうです。製作は2016年ですが、当時ですでにSNSは生活の中に浸透していたことがわかります。逆に考えますと、SNSに関しては当時からあまり進歩していないことになります。

やはりSNSと言いますと、トランプ前大統領を思い出しますが、トランプ氏が大統領に当選したのはSNSのおかげです。これは本人もインタビューで答えていましたが、SNSがなければトランプ大統領は誕生しなかったでしょう。

トランプ大統領の登場で、SNSの意義について物議を醸すことになりました。なにしろ公的な立場にいる人間が記者会見ではなくツイッターで自らの考えを発していたのですから、時代の変化を考えさせらます。本来、マスコミは一般の人に政治家の発信を伝える役割がありますが、それは裏を返すなら伝える内容を選別する力を持っていることになります。いくら政治家が国民に自らの考えを訴えたいと思ったとしても、マスコミが取り上げてくれないなら、訴えることはできないのです。第四の権力と言われるゆえんです。

その権力をないがしろにできたツールがSNSでした。トランプ前大統領はその力を存分に使いました。マスコミの力を弱めるというメリットがあった半面デメリットもありました。それは、信ぴょう性です。「フェイク」という言葉が誕生したことでわかるように、真実ではないことが、まるで真実かのように社会に広まりました。

だれでもが意見を発信できるのは大きな光ですが、その影として「フェイク」がまかりとおるようになってしまいました。昨年末あたりからSNSの世界では「真実」の裏づけについて厳しい規定が設けられるようになりましたが、新しいSNSの時代に入ったように思います。

昔は、トイレの落書き程度の影響力だったものが、今の時代は社会に大きく影響を与えるようになっています。SNSの世界にログインするにはそれなりの覚悟が求められる時代になってきています。ということを考えさせられた映画でした。

話が堅苦しい方向に向かいましたので、おわりは映画の話に戻りたいと思います。この映画は登場人物たちのそれぞれの物語が別々に描かれていますが、最後の場面を空港に集約させているのが脚本の魅力です。韓国映画のレベルの高さを思わざるを得ない終わり方でした。

また、次回。

空港で収束するような展開の脚本が素晴らしい

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