家へ帰ろう

2017年製作/93分/G/スペイン・アルゼンチン合作
監督:パブロ・ソラルス
出演者:ミゲル・アンヘル・ソラ、マルティン・ピロヤンスキー、アンヘラ・モリーナ、ユリア・ベアホルト、オルガ・ボウォンジ

あらすじ
アルゼンチンのブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立屋、アブラハムは、70年以上会っていないポーランドの親友に、最後に仕立てたスーツを渡そうと思い立つ。その親友は、ユダヤ人のアブラハムがホロコーストから逃れた際に助けてくれた命の恩人だった。アブラハムは、マドリード、パリを経由して目的地に向かうが、道中さまざまな困難が襲う。
(シネマトゥデイ より引用)

ヒットラーの残虐なユダヤ人虐殺を批判する映画ですが、虐殺を直接ではなく間接的に批判しているところが、新しい視点だと思いました。そして、とても効果的とも思いました。

僕はヒットラーのユダヤ人虐殺の映画を幾本か観ていますが、そのたびに人間のおぞましさを感じずにはいられません。どうしてこのような残虐な行為が行えるのか、そして、ひとつ間違えるなら誰でも残虐な人間になれる、なってしまう可能性があります。普段からそのことを常に念頭に入れておかないと、気がつかない間にその穴に落ち込んでいるかもしれません。

予告編を観ていて、このストーリーの展開で、最後にどうやって感動的にするのか興味がありましたが、至ってシンプルな展開なのですが、というよりももしかしたなら、シンプルだからこそ感動的な映像になったのかもしれません。

あまり詳しく書いてしまいますと、ネタバレになってしまいますので、細かくは書きませんが、別に特別な映像ではなく、ある意味ありがちな展開、映像ですが、それでもとても感動的な映像になっていました。おそらくそれまでの物語の展開があったからこそのあのシンプルな映像だったともいえそうです。

最後に登場する、主人公が会いに行きたかった相手が実は、僕がラーメン店を営んでいたときに隣で電気店を営んでいたご主人に似ていたのがとてもうれしかったです。映画の中のこの方もとても優しい顔つきですが、電気屋さんもとても優しい顔つきで、もちろん性格もとても穏やかで心優しい人です。僕は数ヶ月に一度は今でも時々会いに行っています。

僕の持論ですが、人間は年をとったときの顔にはその人の人生の足跡が表れると思っています。僕は勝手に「人相」と言っているのですが、「人相」は年をとることで少しずつ刻み込まれていきます。善行で生きてきた人は善行な「人相」になりますし、そうでない人の「人相」はとても哀しい顔つきになっています。

60才も超えていますと、20代30代の頃に出会った人と久しぶりに会うことがありますが、そうしたときに「素敵な人相」になっている人に会うのはとてもうれしいものです。先月もそうした人に会ったのですが、どんな人生を送ってきたのがなんとなくわかるような気がしました。

もうすぐ選挙ですが、公約で選ぶのもいいですが、人相で選ぶのもひとつの方法です。

それでは、さよならさよなら。

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