バトルフィールドクルーティの戦い

2019年製作/110分/ウクライナ
監督:アレクセイ・シャパレフ
出演者:エブヘニー・ラマフ、アンドレイ・フェディンチク、ナディア・コベルスカ、ビタリー・サリー

内容
1918年1月29日にキエフ(ウクライナの都市)の東北130キロにあるクルーティ鉄道駅(ウクライナ語版)(クルーティ町(ウクライナ語版))で起こった戦い。この戦いは,4000兵士のボルシェビキ軍と400人の小さなウクライナのユニット(その中で300人は学生)の間に行われた。
(ウィキペディアより引用)

この映画を観る気になったのは、もちろん現在起きているウクライナへのロシアの侵略があったからです。今回の侵略でウクライナの歴史について知る機会が多くなったのですが、ウクライナはドイツやソ連などいろいろな国に支配された過去があったことに驚きました。

製作されたのが2019年とわずか3年前というのも驚きですが、考えてみますると、2014年に「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」が独立宣言をしてすでに戦争状態だったのですから、もしかするなら今回の事態を想定して製作されたと勘繰ることもできます。

日本ではあまり伝えられませんでしたが、ウクライナの方々にしてみますと心穏やかな日々ではなかったかもしれません。ロシアにも言い分はあるのかもしれませんが、武力行使をした時点で、非がロシアにあるのは明確です。

「ロシアにも言い分がある」とは言いながらも、昔から侵略ばかりをされているウクライナに「非」があるとは思えません。先日、ラジオのたまむすびという番組で映画評論家町山智浩さんが「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」と「ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い」という2つのウクライナの映画を紹介していましたが、その解説を聞いていますと、ウクライナへの同情心が高まってきます。

僕が接する様々な情報を総合しますと、抵抗を続けていても最終的にはウクライナが戦闘的には負けるようです。そうしますと、難民が想像を絶するほど出るでしょうが、武力ではウクライナを助けなかった欧米諸国はどのように対処するのでしょうか。

人間の特性として、「やさしさは長続きしない」と僕は思っているのですが、難民が出たあと、世界はどのように対応するつもりなのでしょう。永遠にウクライナ難民ばかりを優遇するわけにもいかないでしょう。今の時点で言うのは適切ではないかもしれませんが、ウクライナから難民が出る以前に、アフガニスタンはもちろん、イスラエルのガザ地区とかヨルダン川西岸、またはシリアのクルド人、ミャンマーのロヒンギャなど難民問題はたくさん起きていました。そうしたことに本気で対処してこなかった世界は、今後さらに難問を抱えることになります。

映画の魅力といいますか、役割といいますか、映画には世の中に影響を与えることが2つあります。1つは観ている人に感動を与えることで、あと1つは歴史を刻むことです。この映画は正に後者ですが、歴史に刻んでもそこから学ばなければなんの意味もありません。しかし、学ぶかどうかは後世に生きている人たちにゆだねられているところが人間の悩ましさです。

それでは、さよならさよなら。

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