ちょっと思い出しただけ

2022年製作/115分/G/日本
監督:松居大悟
出演者:池松壮亮、伊藤沙莉、成田凌、國村隼、永瀬正敏、河合優実、

この映画は今年の2月に公開されたものですが、それがもうアマゾンで無料で観られるなんて、こう言っては失礼かもしれませんが、あまりヒットしなかったのかな…。それにしても出演者が豪華です。監督の人脈か、人柄か、わかりませんが、よくぞこれだけの人たちが集結したものと感嘆しております。

実は、僕の観方というか理解能力がなかった、というか話に入りこめていなかった、というか、イマイチ話の展開に難点があるように思っていました。しかし、あとからいろいろと作品紹介サイトなどと観ていましたら、このお話は「ある1日について、時系列がうしろに戻っていく」と書いてあり、ようやく理解できました。そういえば、節めでカレンダーがアップになっていましたっけ…。

それを理解して、最後の場面、伊藤理沙さんが赤ちゃんを抱いた男性とのやりとりの意味がわかりました。まさに「ちょっと思い出しただけ」でしたね。

今は50代くらいになった方でも、20代の頃には青春の時代があったはずです。そう思いますと、なんとも自然な映画ということになりますが、よく考えますと、僕が学生時代(約40年以上前)に観ていた青春映画でも描かれていた内容です。この映画の肝は、ごくごく普通の生活にあるように思っていますが、そうした演技をさせたら池松さんも伊藤さんも天下一品です。最適なキャスティングだったように思います。

この映画を少しばかり分析しますと、社内での会話が多いことでアカデミー賞を受賞した「ドライブマイカー」を思い出しました。また、池松さんと伊藤さんが一緒に住むようになってからすれ違いが生じて言い争う場面では、現在公開されている「わたし達はおとな」という映画を思い起こしていました。もしかしたら、今、映画界ではごく普通の男女がすれ違いで言い争うのが流行っているのかなぁ…、などと思った次第です。

出てくる人物像が演劇系というか、アーティスト系の人でしたが、以前山崎賢人さんと松岡茉優さんが出ていた「劇場」という映画も同系列の映画でした。やはり、近年はこうした映画が流行しているようです。

時系列に遡り、二人が出会ってから仲良く同棲している間の言葉のやり取りは観ていて楽しい雰囲気が伝わってきましたが、その一番の理由は「会話の妙」にあるように感じました。

「来年の誕生日、プロポーズしよう」とか「…明日かな」などはとても素敵でした。出会って初めて二人で商店街を歩く場面も、これから二人は恋人になるんだろうな、と予見させる言葉のやりとりで、二人の楽しそうな感じが十分伝わってきました。こうした映画の設定では「高円寺」が使われることが多いのですが、実は僕が学生時代、2才上の先輩がこのあたりに住んでおり、しょっちゅう遊びに行っていたので懐かしさを感じます。そうしてみますと、高円寺ってもう50年以上若者に人気がある街でいつづけていることになります。すごいですよね。

それでは、さよならさよなら。

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