夕霧花園

2019年製作/120分/PG12/マレーシア
監督:トム・リン
出演者:リー・シンジエ、阿部寬、シルヴィア・チャン、

解説・あらすじ
マレーシアの作家タン・トゥアンエンの小説「The Garden of Evening Mists」を原作に、亡き妹の夢だった日本庭園造りに挑むマレーシア人女性と日本人庭師の切ない恋を、戦中の1940年代、戦後の50年代、80年代の3つの時間軸で描き出す。1980年代、マレーシアで史上2人目の女性裁判官となったユンリンは、さらなるキャリアアップを図るべく奮闘していた。そんなある日、かつて愛した日本人庭師・中村が、終戦時に日本軍が埋めたとされる埋蔵金にまつわるスパイ疑惑をかけられていることを知り、彼の潔白を証明するため立ち上がる。

公開は今から4年前となっていますが、当時、この映画の記憶がありませんので、テレビやネットなどでもあまり宣伝しなかったように思います。こう言っては失礼ですが、おそらくヒットもしなかったのではないでしょうか。

勝手な推測ですが、あまり派手に宣伝もしなかったのは映画の内容に関係があるように思います。先の戦争での、日本軍のマレーシアにおける残虐な行動が描かれているからです。保守層の人たちからしますと、自虐史観ということになりますので許容できるストーリーではありません。

こうした残酷な映像を見せられてしまいますと、日本の加害性についてもやはり考えさせられてしまいます。日本は最後は敗戦で終わっていますし、最後は原爆を投下されていますので、どうしても被害者のほうに視点が行きがちですが、東南アジアでは加害者の一面も持っていたのは事実です。「過去に学ばないものは歴史を繰り返す」という言葉を肝に銘じていたいと思います。

戦争を起こさないためには日ごろから政治に関心を持つと同時に、侵略を受けない行動をとっておくことが必要です。ウクライナへのロシアの侵略を見るまではそこまで危機感を持っていませんでしたが、今のウクライナを見ていますと普段から政治を監視しておくことは大切です。

この映画は主人公の女性の若い時と年老いての時の両方が描かれているのですが、どちらの俳優さんも演技力に素晴らしいものがありました。正直な感想を書きますと、阿部寛さんは、この映画にはあまり溶け込んでいないように思ったのですが、どうでしょう。

また、タイトルも今一つの感があります。原作に合わせたのかもしれませんが、タイトルを見て「観たい」という気持にはならない、と言っては言い過ぎでしょうか。

それでは、さよならさよなら。

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